栄養のコト、メモるわ

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糖尿病患者の食事管理には自制力が必要? (2023/12/2)

 


糖尿病患者さんの食事療法と、その実行力

私達管理栄養士は、糖尿病患者の食事管理をサポートすることが重要な役割の一つです。

糖尿病患者は、血糖値のコントロールや合併症の予防のために、食事療法を守る必要があります。しかし、実際には、食事療法に従うことが難しいと感じる患者も多くいます。

食事療法に従うことが難しい理由の一つとして、自制力の低さが挙げられます。自制力とは、自分の衝動や欲求に抵抗する能力のことです。自制力が低いと、食べたいものを我慢できなかったり、食べ過ぎたりする可能性が高くなります。

自制心があれば食事療法は成功するのか?

今回取り上げるテーマは、糖尿病患者の自制力と食事療法への遵守度との関係についてです。自制力と食事療法への遵守度との関係は、これまでにもいくつかの研究で検討されてきましたが、その結果は一致していません。また、自制力は、主観的に自己評価する方法と、客観的に課題を用いて測定する方法とがありますが、どちらの方法が食事療法への遵守度とより関連しているかは明らかではありません。そこで、今回紹介する論文では、中国の糖尿病患者を対象に、自制力を主観的にも客観的にも測定し、食事療法への遵守度との関係を分析しています。この研究は、自制力と食事療法への遵守度との関係を多面的に検討した点で、先行研究とは異なります。

 

研究の概要:

「Investigating the relationship between inhibitory control and dietary adherence among patients with type 2 diabetes mellitus based on subjective and objective measures (Nutrition & Diabetes, 2023)」

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/37989739/

この論文では、糖尿病患者の食事管理において、自制力がどのように影響するかを調べています。自制力は、実行機能の一つであり、自分の行動や思考を抑制する能力のことです。自制力は、食べ物に対する欲求や誘惑に抵抗することにも関係しています。糖尿病患者は、食事療法に従うことで、血糖値のコントロールや合併症の予防につながりますが、食事療法に従うことは、自制力が必要な行動です。しかし、糖尿病患者の自制力と食事療法への遵守度との関係は、まだ十分に明らかになっていません。

研究の目的

  • この研究の主な目的は、糖尿病患者の自制力と食事療法への遵守度との関係を、主観的な自己評価と客観的な課題を用いて測定することで、明らかにすることです。
  • また、自制力と食事療法への遵守度との関係には、年齢や性別などの人口統計学的変数や、血糖値やBMIなどの臨床的変数が影響する可能性があるため、これらの変数を考慮に入れることも目的の一つです。

 

方法

この研究は、観察研究の一種である相関研究です。相関研究とは、二つ以上の変数の間にどのような関係があるかを調べる研究です。

研究の対象となる患者は、中国の三つの三次医療機関の内分泌科に通院している2型糖尿病患者393人で、そのうち男性が184人、女性が209人です。

患者の平均年齢は54.8歳で、平均糖尿病罹患期間は9.1年です。

研究では、
主観的な自制力は、行動評価実行機能-成人版(BRIEF-A)という質問紙を用いて自己評価しました。
客観的な自制力は、ストップ信号課題(SST)とストループ課題という二つのコンピューター上で行う課題を用いて測定しました。
これらの課題は、患者の反応抑制能力や注意力を試すものです。

主要評価項目:

自制力と食事療法への遵守度との相関係数

副次評価項目:

自制力と食事療法への遵守度との関係における人口統計学的変数や臨床的変数の影響

 

主要な結果

  • 研究から得られた主要な成果や発見を列挙します。箇条書きで4点にまとめ、最終的に包括的なまとめを出力してください。
  • 主観的に測定した自制力は、食事療法への遵守度と有意に正の相関がありました。つまり、自分で自制力が高いと評価した患者は、食事療法に従う傾向が高かったということです。
  • 客観的に測定した自制力は、食事療法への遵守度と有意な相関が見られませんでした。つまり、課題で自制力が高いと測定された患者は、必ずしも食事療法に従っているとは限らなかったということです。
  • ストループ課題の成績は、炭水化物や脂肪の摂取量と有意に負の相関がありました。つまり、ストループ課題で自制力が高いと測定された患者は、炭水化物や脂肪の摂取量が少なかったということです。
  • 人口統計学的変数や臨床的変数は、自制力と食事療法への遵守度との関係に影響を与える可能性がありました。例えば、年齢が高いほど、自制力が高く、食事療法への遵守度も高かったということです。

以上の結果から、糖尿病患者の食事療法への遵守度は、自制力と関係していることが示唆されました。特に、主観的な自制力や、ストループ課題で測定された自制力が、食事療法への遵守度に影響を与える可能性がありました。

また、年齢や性別などの変数も、自制力と食事療法への遵守度との関係に影響を与える可能性がありました。

 

研究の限界

研究の方法論や結果に影響を与える可能性のある制限事項を指摘します。

この研究は、相関研究であるため、自制力と食事療法への遵守度との間に因果関係があるとは言えません。自制力と食事療法への遵守度との関係には、他の変数が影響を与えている可能性があります。

この研究は、中国の糖尿病患者を対象に行われたため、他の国や地域の糖尿病患者にも同じ結果が当てはまるかどうかは不明です。また、研究に参加した患者は、便宜的に選ばれたため、糖尿病患者の全体的な特徴を反映しているとは言えません。

この研究は、自制力を測定するために、主観的な質問紙と客観的な課題を用いましたが、これらの測定方法は、自制力の全ての側面をカバーしているとは言えません。例えば、自制力は、時間的な遅延に対する耐性や、目標設定や計画立案などの他の実行機能とも関係していますが、これらの要素は、この研究では考慮されていませんでした。

結論と臨床への意義

「結局、結論としては?」

この研究の結論としては、糖尿病患者の食事療法への遵守度は、自制力と関係していることが示されました。特に、自分で自制力が高いと評価した患者や、ストループ課題で自制力が高いと測定された患者は、食事療法に従う傾向が高かったということです。また、年齢や性別などの変数も、自制力と食事療法への遵守度との関係に影響を与える可能性がありました。

この研究の結果は、臨床実践や栄養管理にとって、重要な意味を持ちます。なぜなら、自制力を高めることができれば、食事療法への遵守度を向上させることができるかもしれないからです。

 

「自制力を高める方法」

例えば、

  • 自分の目標や動機を明確にする
  • 自分の進歩や成果を記録する
  • 自分にご褒美を与える

また、ストループ課題のような課題を繰り返し行うことで、自制力を訓練することもできるかもしれません。これらの方法を試してみることで、糖尿病患者の食事管理がより効果的になる可能性があります。

 

さらに

  • 朝ルーティンを作る:起床時間や朝食のメニュー、運動や読書などの活動を決める
  • 睡眠・リラックスの時間を取る:睡眠やリラックスの時間を取ることで、脳の回復やリフレッシュをする。
  • 仕事に制限時間を設ける:緊張感を生み出すことが効果的。制限時間を設けることで、時間管理や優先順位のスキルをみにつける。
  • 「習慣三種の神器」を活用:習慣三種の神器とは、目標設定・計画立案・振り返りのこと。自分の行動や成果に対する意識が高まり、自分の強みや弱みに気づくことができる。
  • 「日記」をつける:一日の終わりに、自分の感情や体調を書き出す。自分の感情や体調に気づくことができる。
  • 「完璧主義」ではなく「最善主義」を目指す:自分に厳しすぎる完璧主義は、自制力の敵です。最善主義(自分のできる最善を尽くすこと)を目指すことで、自分に自信や満足感を持つことができ、失敗や挫折に対しても前向きになることができる。

自制力を鍛える方法は人それぞれですので、自分に合った方法を見つけて試してみてください。自制力は、日々の努力によって高めることができます。自制力を高めることで、人生をより良くすることができます。

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